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日本でも二重国籍、実は認められている?

Visa

2021,08,10

更新 2022年6月25日

追記2023年1月

 

こんにちは。

Amie国際行政書士事務所の伊藤亜美です。

 

大坂なおみ選手が2021年の東京オリンピックに出場するにあたって、日本とアメリカどちらの代表として出場するのかと話題になった国籍問題。海外に長く住んでいて外国籍を取得した元日本人の方から、リタイア後などに日本で暮らすにあたって、再度日本国籍を取るか(いわゆる再帰化)、永住権を取るか迷っているというご相談をよくいただきます。

 

日本は二重国籍を認めていない国として知られていますが、実際には二重国籍の方も多いという現実もあるようです。

二重国籍の現状について見ていきたいと思います。

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世界の情勢

 

世界では、アメリカ合衆国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、ロシアのように二重国籍を認める国が主流です。2018年のオランダのマースリヒト大学の調査によると、外国籍取得時に自動的に自国籍を奪わない制度の国が国連加盟国の75%に上っていて、日本のように二重国籍を認めない国は世界の少数派です。

重国籍容認が最も進んでいるのは、南北アメリカやオセアニア地域です。アジアは世界平均から見ると、重国籍を認めてる国は比較的少ないのですが、それでも次第に容認する国は増えています。例えばフィリピンやベトナムなどは2000年以降に二重国籍を認める法改正をしています。韓国も2010年の法改正により条件付きですが、重国籍の容認に踏み切っています。

 

 

 

出典 https://worldpopulationreview.com/country-rankings/countries-that-allow-dual-citizenship

 

 

日本の国籍法

 

国籍法第14条第1項の定めにより、日本の国籍と外国の国籍を有する人(重国籍者)は、一定の期限までにいずれかの国籍を選択する必要があります。

 

 第14条 外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなった時が二十歳に達する以前であるときは二十二歳に達するまでに、その時が二十歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。

 

*成年年齢の引き下げ等を内容とする「民法の一部を改正する法律」の成立を受け、国籍法についても改正が行われました。令和4年(2022年)4月1より施行され、国籍の選択をすべき期限については次のとおり変更となります。

・18歳に達する以前に重国籍となった場合→20歳に達するまで
・18歳に達した後に重国籍となった場合→重国籍となった時から2年以内

また、法務省のホームページでは「この期限を徒過してしまった場合も、重国籍者はいずれかの国籍を選択する必要があります。国籍法上、期限内に日本の国籍の選択をしなかったときには、法務大臣は、国籍の選択をすべきことを催告することができる。」とされており、「催告された方は、催告を受けた日から1か月以内に日本の国籍の選択をしなければ、原則としてその期間が経過した時に日本の国籍を失うこととされています。」(国籍法15条)とされています。つまり、「日本は重国籍を認めない」と理解されている根拠です。

実際に重国籍になるケースとしては

  1. 国際結婚の子供など、未成年のうちに複数の国籍を取得
  2. 日本人が国際結婚などで自動的に相手の国の国籍を取得
  3. 外国人が日本国籍に帰化
  4. 日本人が意図的に外国籍を取得

等が考えられます。

大坂なおみ選手の場合が1のケース、当事務所が一番ご相談をいただくのが4のケースです。

いずれの場合も、ある時期までに国籍の選択が必要になります。

 

出典:法務省HP

 

ここで注目したいのが、日本国籍を選択した場合の一番下の枠にある「外国国籍を喪失していない場合は外国国籍の離脱の努力」というところです。

 

 国籍法16条第1項

当該外国国籍の離脱に努めなければならない。

 

とあります。国によっては国籍の離脱が困難な場合があることに配慮して、外国国籍の離脱は強制せず、努力義務を課すにとどめています。「必ず元の国籍を離脱してください」ではなく、「なるべく元の国籍は離脱して、日本国籍だけにしてください」という意味です。

先ほど見たように、世界の多くの国が二重国籍を認めています。日本国籍の選択宣言によって外国国籍を自動的に喪失するかどうかは、当該外国の国籍法によって決まるので、かならずしも重国籍が解消されるとはかぎりません。つまり、日本国籍取得=その国の国籍の自動的な喪失とはならない国が多くあるのです。

例えば、アメリカ合衆国は二重国籍を認めているため、日本国籍の選択届を日本政府に出しただけ、または日本に帰化しただけでは米国籍は失いません。米国籍離脱のためには、別途、米政府に離脱手続きを行う必要があります。

 

日本の国籍選択届の用紙には「国籍選択宣言」という項目があり、そこには「日本の国籍を選択し、外国の国籍を放棄します」と記されています。また、帰化申請の際にも、「(現在の)国籍離脱・放棄宣誓書」を提出します。日本国籍の選択は、外国の国籍を放棄する意思表示でもあります。しかしながら、外国籍の放棄は努力目標であり罰則がないため、アメリカなど二重国籍を認めている国の国籍を持っている場合、日本国籍を持ったまま外国籍も保持することができてしまいます。その結果として「二重国籍でも問題ない」との誤解を一部で生んでいるようです。また、日本政府は選択義務を定めつつ、実際に選択したかどうかは把握していないため、二重国籍者がどれほどの数いるかは正確に分かっていません。

 

 

再帰化か永住許可取得か

 

例えばアメリカ合衆国では二重国籍を認めている上に、資産家の海外脱出を防ぐために「国籍離脱税」という制度を設けています。米国籍離脱者に対し、純資産の最大23・8パーセントを税金として納めさせる制度です。アメリカ国籍を取得し仕事をして財産を築いた方にとって、老後は日本人として日本で暮らしたいと再帰化を考えた場合、この制度がネックになることは大いにあり得ます。そのような場合、日本の永住権をとり、アメリカ人として日本で暮らすというのも選択肢の一つです。

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「二重国籍を認めない国籍法は合憲」との判決も

 

 

外国籍を取得すると日本国籍を失う国籍法(国籍法11条1項)の規定は違反だとして訴え、海外在住の8人が日本国籍を維持していることの確認などを国に求めた訴訟の判決が2021年1月21日東京地裁(森英明裁判長)で下されました。「二重国籍を認めない国籍法は合憲」と判断して、訴えを退ける判決を言い渡しました。原告側は国籍法自体が、「国籍を変更する自由や幸せに生きる権利を保障した憲法に違反している」と訴えていましたが、裁判長は「日本国籍の喪失を強制されない権利を憲法が保障していると解するのは困難」と指摘し、複数国籍を可能な限り防止するという観点から、同規定は「合理的と言える」とし請求を棄却しました。

 

 

まとめ

 

2021年1月21日の判決からもわかる通り、日本は二重国籍を認めているわけではありません。日本国籍を選択した場合の外国籍放棄が努力義務となっているため、事実上、重国籍も可能となっているというのが現状です。以前、法務省の担当部署の方とお話した際に、「外国籍を離脱しなくても罰則はないが、外国籍を離脱するという宣誓書などを出したうえで日本国籍を選択、または帰化しているので守ってほしい。」とおっしゃっていました。

一方でグローバル化を背景に、国境を越えた人の移動や国際結婚が増えるなか、重国籍を制度として容認すべきだとの声もあります。アメリカ国籍の中村修二氏や英国籍のカズオ・イシグロ氏のノーベル賞受賞時に日本でも話題になったように、優秀な人材の海外流失を防ぐ意味でも、二重国籍を認めようとする国が増えています。

今後の日本の動向を注視していきたいと思います。

 

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Amie国際行政書士事務所では、帰化申請 や永住許可申請のお手伝いの経験と、私自身の海外に住んでいた経験を活かし、お客様に寄り添いながら親身に再帰化や永住申請のサポートをさせていただいています。二重国籍状態の方のご依頼も多くいただいております。再帰化や永住許可申請をお考えでしたら、Zoomでの面談も可能ですので、海外在住の方も是非お問い合わせください。

 

追記  2023 年1月

2022年10月に日本の水際対策が緩和され、各入管への申請が急増しています。その関係で、審査に長く時間がかかっています。ご帰国予定の約半年前にご連絡を頂けると、余裕を持ってタイムスケジュールを組めると思います。

 

*外国籍を取得後も日本国籍を維持したい、二重国籍状態でも日本のパスポートで入国できるか等のご相談には対応できかねます。また、パスポートの更新については、旅券センターにお問い合わせください。
*アメリカや日本での税金に関するご質問は専門ではないためお答えできません。税理士事務所や税務所へお問い合わせください。

 

 

 

プロフィール

伊藤亜美

・東京都出身

・高校時代をイギリスで過ごし、現地校を卒業

・上智大学外国語学部英語学科で主に異文化コミュニケーションを学ぶ

・卒業後はメーカーの海外部門に11年間勤務

・高校生に英語を10年以上指導 TOEIC 970点 国連英検A級

・千葉県行政書士会・国際業務部担当理事

・金融庁の 「外国語対応可能な士業のリスト(行政書士)千葉県」 にも正式に登録されています。

 

海外で生活したことで、異なる文化の中で生活・仕事をする大変さを知り、日本で生活したい・働きたい外国人や、外国人を雇いたい企業様のお役にたちたいと思い、行政書士の資格を取りました。

人と話すこと、話を聞くことが好きです。丁寧にお客様の状況をヒアリングし、法律の知識を活かして最良な方法をご提案いたします。また、お客様とのコミュニケーションを丁寧にすることで、お客様が不安を抱くことがないように心がけています。

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