高度専門職2号への変更申請と永住権との比較
2021,04,05
こんにちは。
申請取次行政書士の伊藤亜美です。
お客様とお話していて高度専門職2号への変更について間違った情報が流れているように感じるので、高度専門職2号についてわかりやすく説明したいと思います。また在留資格「永住」との違いもお伝えします。
高度専門職についての詳細はこちらをご参照ください
在留資格「高度専門職」は永住申請も優遇される? 優遇措置と高度人材のポイント制をわかりやすく解説
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高度専門職2号の主な条件
高度専門職1号は入管法上の最長の在留期間である5年が一律に与えられます。高度専門職1号の在留資格を持ち、3年を経過することが要件の1つとなっています。つまり高度専門職2号は在留資格認定証明書の交付対象にはなりません。高度専門1号からの変更申請のみ可能です。
また、高度専門職2号は就労の在留資格で認められるほぼ全ての活動を行うことが可能となります
- ポイントの合計が70点以上
- 高度専門職1号ロで在留していた場合は報酬年額合計が300万円以上あること
- 高度専門職1号の在留資格で3年以上在留して当該在留資格に該当する活動を行っていたこと
- 素行が善良であること
- 当該外国人の在留が日本国の利益に合致すると認められること
高度専門職2号への変更申請に必要な書類
- 在留資格変更許可申請書
- 写真 4㎝ ⅹ 3㎝
- 申請人のパスポート及び在留カードの提示
- 提出資料がカテゴリーにより分かれている場合は、所属機関がいずれかのカテゴリーに該当することを証する文書
- 入管法施行規則別表第3に規定する在留資格の項の下欄に掲げる文書
・登記事項証明書
・卒業証明書及び職歴書又は履歴書
・在職証明書
・直近の年度の決算文書の写しなど所属する企業のカテゴリーに応じて必要なもの - 直近(過去5年分)の申請人の所得及び納税状況を証明する資料
・住民税の納付状況を証明する資料
・国税の納付状況を証明する資料
・所得を証明するもの 預貯金通帳の写し、またはそれに準ずるもの - 申請人の公的年金及び公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料
・直近(過去2年間)の公的年金の保険料の納付状況を証明する資料
・直近(過去2年間)の公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料 - ポイント計算表
- ポイント計算表の各項目に関する疎明資料
・学位記
・在職証明書
・業績を証明する資料 など
2号への変更申請の審査期間
高度専門職2号が得られると、在留期間が無期限になるなど、高度専門職2号は永住者に準じた在留資格になります。そのため、上記の通り申請時の提出書類は多岐にわたり、審査機関も約2か月かかります。1号への変更申請、更新申請が5日以内の審査期間が目途(変更の場合、実務上では2-3週間程度)に比べると長くなっています。
高度専門職2号と転職
高度専門職1号の場合、入管法では、「法務大臣が指定する本邦(=日本)の公私の機関との契約」に基づいて活動することが前提となっているため、所属機関名(会社名)と会社所在地が記載された「指定書」がパスポートに貼られます。その所属機関(企業)で就労することを前提として高度専門職ビザの許可がされているので、その所属機関を辞めて転職する場合、転職前に在留資格の変更申請の手続きをする必要があります。
詳しくはこちらをご参照ください 「高度専門職1号」ビザを持っている外国人はそのまま転職できる?
一方で、高度専門職2号取得後は、転職しても在留資格変更申請をして許可を得る必要ありません。高度専門職2号には、法務大臣からの「指定書」の交付がありません。ただし、高度専門職ビザを取得していても6ヶ月間働かないでいると、正当な理由がある場合を除き、在留資格剥奪の対象となりますのでご注意ください。
高度専門職2号への変更には80点必要?
条件のところで見たように高度専門職2号への変更に必要なポイントは70点です。80点持っていないと2号に変更できないのでは?というご質問を受けることがありますが、80点は「永住申請要件の緩和」を受けられる点数です。
高度専門職の永住申請の緩和
永住申請の条件として、就労ビザで働いている人の場合、10年以上の在留年数があり、そのうち5年以上就労していることが必要です。高度専門職の在留資格を持ちかつ80点以上持っている人と、他の在留資格を有していても高度専門職ポイントで計算が80点以上の人は、1年間在留していれば永住を申請することができるようになります。
- 永住申請要件の緩和
70ポイント以上 3年以上の居住
80ポイント以上 1年以上の居住
※通常は10年以上の在住および5年以上の就労が要件
高度専門職2号と永住権の比較
次に高度専門職2号と永住権を比べてみたいと思います。
就労制限
高度専門職2号は在留資格内「教授」「芸術」「宗教」「報道」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「介護」「興行」「技能」に該当する業種しか選ぶ事は出来ません。例えば、医者として働く(医療)、歌手になる(興行)、コックになる(技能)こともできますが、単純労働は認められないとされています。
高度専門職2号を申請するか、永住権を申請するかは、一生日本に住みたいかどうかも重要な判断材料になります。高度専門職2号は就労を目的とした在留資格なので、例えば仕事を辞めた後も日本で暮らすことを希望する場合は、永住ビザへの変更がメリットになると考えられます。
まとめ
高度専門職2号への変更は書類も多岐にわたり、また審査にも約2か月かかります。
1号の在留期限ぎりぎりの申請にならないように、余裕を持って申請することをお勧めします。
高度専門職2号への変更申請をしたい方、また、高度人材にあたる外国人を雇用する経営者の方、Amie国際行政書士事務所ではカウンセリングから申請取次によるビザ取得まで、迅速、かつ丁寧にお手伝いさせていただきます。どうぞご相談ください。
プロフィール
伊藤亜美
・東京都出身
・高校時代をイギリスで過ごし、現地校を卒業
・上智大学外国語学部英語学科で主に異文化コミュニケーションを学ぶ
・卒業後はメーカーの海外部門に11年間勤務
・高校生に英語を10年以上指導 TOEIC 970点 国連英検A級
・千葉県行政書士会・国際業務部部員
・金融庁の 「外国語対応可能な士業のリスト(行政書士)千葉県」 にも正式に登録されています。
海外で生活したことで、異なる文化の中で生活・仕事をする大変さを知り、日本で勉強したい・働きたい外国人や、外国人を雇いたい企業様のお役にたちたいと思い、行政書士の資格を取りました。
人と話すこと、話を聞くことが好きです。丁寧にお客様の状況をヒアリングし、法律の知識を活かして、最良な方法をご提案いたします。また、お客様とのコミュニケーションを丁寧にすることで、お客様が不安を抱くことがないように心がけています。お客様の声のページへ
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