外国人が日本で出産した時にするべき手続き
2020,04,09
こんにちは。
申請取次行政書士の伊藤亜美です。
先日、ご夫婦が「永住者」の在留資格を持ち日本で子供を出産したにもかかわらず、その後の必要な手続きについて知らなかったために、子供の在留資格が「定住者」になってしまったというご相談を受けました。
日本に住む外国人が多くなっているので、日本で出産するケースも多くなっています。その場合、どういう手続きをとるべきなのか、親の在留資格ごとに解説したいと思います。
1.永住者の場合
まずご相談のケースのように、父、または母(または両親)が永住者の在留資格を持っていて、日本で子供を出産した場合、次の手続きが必要になります。
①出生届の提出
出生の日を含めて14日以内に、住民票のある市区町村役場または出生地の市区町村役場へ届出を提出。
②在留資格認定証明書交付申請
出生した日から30日以内に、住居地を管轄する地方出入国在留管理局へ在留資格認定証明書交付申請を行う。
出生後もその子供が引き続き日本に在留している場合
→ その子供の在留資格は「永住者の配偶者等」になります。
子供の在留資格を取得後に、親が永住者の在留資格を失ったとしても、子供の在留資格に影響はありません。
また、永住者の在留資格の申請を行えば、永住者の在留資格が与えられる可能性もあります。
ただし、両親のどちらか(どちらも)が永住者だった場合でも、海外で出産した場合はその子供の在留資格は「定住者」になります。
ご相談いただいたケースでは①の出生届の提出はしていたものの②の在留資格認定証明書交付申請を30日以内にしていなかったため、オーバーステイ状態となり、その後の手続きも複雑になってしまっていました。
2.両親のどちらかが日本人の場合
・子供が生まれた時に、父または母が日本国籍を保有していた場合、子供は生まれながらにして「日本国籍」を保有します。(国籍法2条)
第二条 子は、次の場合には、日本国民とする。一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
・子供が生まれた後に、日本人である父または母が子供を認知した場合(国籍法3条)
第三条 父又は母が認知した子で二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であった場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。
①その子供が20歳未満の場合 → 届出(国籍取得の届出)により「日本国籍」を取得することができます。
②認知した子供が20歳以上である場合 → 帰化申請により「日本国籍」を取得することになります。
在留資格の申請は必要ありませんが、出生の日を含めて14日以内に、住民票のある市区町村役場または出生地の市区町村役場へ届出が必要です。
・子供が生まれた時に、父または母が日本国籍を保有していた場合で、子供が「外国籍」を保有している場合 (外国で子供を産んだ場合も含む)
①出生届の提出
出生の日を含めて14日以内に、住民票のある市区町村役場または出生地の市区町村役場へ届出を提出。
②在留資格認定証明書交付申請
出生した日から30日以内に、住居地を管轄する地方出入国在留管理局へ在留資格認定証明書交付申請を行う
→ その子供の在留資格は「日本人の配偶者等」になります。
3.就労ビザや留学ビザの場合
両親のどちらか(または両方が)技術・人文知識・国際業務変更などの就労ビザや、留学ビザの場合
①出生届の提出
出生の日を含めて14日以内に、住民票のある市区町村役場または出生地の市区町村役場へ届出を提出。
②在留資格認定証明書交付申請
出生した日から30日以内に、住居地を管轄する地方出入国在留管理局へ在留資格認定証明書交付申請を行う
→ その子供の在留資格は「家族滞在」になります。
4.定住者の場合
両親のどちらか(または両方)の在留資格が定住者の場合
①出生届の提出
出生の日を含めて14日以内に、住民票のある市区町村役場または出生地の市区町村役場へ届出を提出。
②在留資格認定証明書交付申請
出生した日から30日以内に、住居地を管轄する地方出入国在留管理局へ在留資格認定証明書交付申請を行う
→ その子供の在留資格は「定住者」になります。
まとめ
出産した病院などで出生届を出すことを教えてくれることはあっても、在留資格認定証明書交付申請のことまで教えてくれることはなかなかないと思います。子供が生まれた後は忙しくなり、あっという間に毎日が過ぎてしまいますが、出生届は生まれてから14日以内に、在留資格認定証明書交付申請は30日以内に、忘れずに手続きしてくださいね。
申請についてのご相談はAmie国際行政書士事務所へ、お気軽にご連絡ください。
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