日系三世の家族:子供は「四世ビザ」ではない?在留資格『定住者』について
2025,10,17
ご家族と共に日本での新生活を計画されている日系三世の皆様から、配偶者やお子様の在留資格について多くのご質問が寄せられます。特に「子供は要件の厳しい『日系四世ビザ』になるのでは」と思われている方が少なくありません。
しかし、一定の要件を満たすことで、ご家族はより安定した『定住者』の在留資格を得て、全員で同時に日本へ移住することも可能なのです。
この記事では、その法的根拠から具体的な申請手続き、必要書類に至るまで、専門家の視点から詳しく解説します。
This article in English Nikkei Child Visas: Long-Term Resident vs. Yonsei Status
目次
なぜご家族も「定住者」になれるのか
日本と特別な繋がりを持つ人々に対し「定住者」としての在留を認める国のルールであり、日系三世のご家族もその対象に含まれています。
(参考:出入国在留管理庁「在留資格『定住者』」)
以下、配偶者とお子様のケースをそれぞれ見ていきましょう。
ケース1:配偶者の在留資格
日系三世の方と法的に婚姻関係にある配偶者は、「日系三世の配偶者」として「定住者」の在留資格が認められます(定住者告示第四号)。
留意点:
- 両国で法的に有効な婚姻関係にあること。
- 日本で安定した生活を送れる経済基盤があること。
- 婚姻の信憑性(偽装結婚ではないこと)を客観的に証明できること。
ケース2:お子様の在留資格
ここが最も重要な点です。日系三世の子供は「日系四世」に該当しますが、以下の要件を満たすことで、「日系三世(定住者)の子」として「定住者」の在留資格を取得できます(定住者告示第六号ニ)。
主な要件:
- 親(日系三世)が「定住者」の在留資格を有すること。
- 親の扶養を受けて生活すること。
- 未成年かつ未婚であること。
- 実子であること。
『定住者』と『日系四世』ビザの主な相違点
お子様が「定住者」の資格を得るメリットは大きいです。制約の多い「日系四世」の資格と比較すると、その差は明らかです。
| 項目 | 定住者(日系三世の子) | 日系四世ビザ |
| 就労制限 | 原則なし(職種を問わず就労可能) | 原則なし(職種を問わず就労可能) |
| 在留期間 | 5年、3年、1年など(更新可能) | 最長5年(更新回数に上限) |
| 取得要件 | 親の扶養など | ・年齢制限(18歳以上30歳以下) ・日本語能力(N4程度) ・受入れサポーターの確保 |
家族全員で、同時に申請・移住が可能です
「申請は一人ずつ?」「まず自分だけが先に行く必要がある?」といったご質問もいただきますが、その必要はありません。
日系三世であるあなたと、配偶者、お子様の在留資格認定証明書(COE)交付申請は、同時に行うことが可能です。無事に許可されれば、ご家族全員のビザを取得した上で、一緒に来日し、日本での新生活を同時にスタートさせることができます。家族が離れ離れになる期間を心配する必要はありません。
【具体的な必要書類リスト】
海外在住のご家族を日本に呼び寄せる「在留資格認定証明書交付申請」を想定した、一般的な必要書類です。
(1) 配偶者を呼び寄せる場合
《日本在住の日系三世(あなた)が準備する書類》
1. 身元保証書
2. あなたが日系三世であることを証明する公文書
- 日本の祖父母の戸籍謄本または除籍謄本(婚姻・死亡等の記載があるもの)
- 親(日系二世)の出生証明書・婚姻証明書など
- あなたの出生証明書
※祖父母からあなたまで、血縁関係が連続して証明できることが重要です。
3. 住民票の写し(世帯全員の記載があるもの)
4. 職業および収入を証明する資料
- (会社員の場合)在職証明書、課税証明書、納税証明書
- (自営業の場合)確定申告書の控えの写し、営業許可書等、課税・納税証明書
《海外在住の配偶者(申請人)が準備する書類》
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 写真(縦4cm×横3cm)
- 婚姻を証明する資料(本国の公的機関が発行した結婚証明書)
- 国籍・身分関係を証明する資料(出生証明書、パスポートの写し)
(2) お子様を呼び寄せる場合
《日本在住の日系三世(あなた)が準備する書類》
1. 身元保証書
2. あなたと申請人(子)の親子関係を証明する公文書
- 日本の祖父母の戸籍謄本または除籍謄本
- あなたの出生証明書
3. 申請人(子)の出生証明書
4. 住民票の写し(世帯全員の記載があるもの)
5. 職業および収入を証明する資料(上記配偶者のケースに準じます)
《海外在住の子供(申請人)に関する書類》
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 写真(縦4cm×横3cm)
ご覧いただいた通り、ご家族の在留資格については、法的根拠に基づいた適切な準備が鍵となります。
上記は一般的な書類リストであり、お客様の個別の状況によっては、さらなる疎明資料の提出を求められることも少なくありません。海外で発行される公文書の収集や翻訳には、想定以上の時間を要する場合もあります。
Amie国際行政事務所は、お客様一人ひとりの状況を丁寧にお伺いし、最適な申請プランをご提案します。ご家族全員での日本移住という大切な目標を実現するため、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。
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2025,10,12

