古物商許可についてわかりやすく解説します <2023年>
2021,02,05
更新 2023/1/14
こんにちは。
行政書士の伊藤亜美です。
中古車を販売したいとき、中古のバッグや時計、スマホなどを販売したいときに必要になるのが古物商許可です。
古物商許可を申請するための条件や、必要書類などわかりやすく解説致します。
古物商許可ってなに?
古物商許可は、盗品の流通防止と被害の早期回復を目的としています。
古物という言葉自体、日常生活ではあまり使われないかと思いますが、古物営業法第2条第1項で次のように定義されています。
第二条 この法律において「古物」とは、一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類(船舶、航空機、工作機械その他これらに類する物をいう。)で政令で定めるものを除く。以下同じ。)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。
「一度使用された物品」や「一度も使っていなくて新品でも、使用のために取引された物品」、またはこれらのものに「手入れをした物品」が「古物」とされます。手入れをした品物とは、例えば買い取ったものを修理してから売ったり、使える部品だけを売るような場合です。古物の売買、交換、レンタルを業として(=事業として)行うことを「古物営業」といい、古物営業を行う場合には「古物商許可」が必要となります。
古物商許可が必要な業種の例としては、中古車販売業・リサイクルショップ・古本屋・金券ショップなどの開業や貴金属の買取等などです。店舗を設けずにインターネットオークション等で古物を販売する場合にも許可は必要になります。
一方で、例えばメルカリなどのフリーマーケットやオークションサイトなどで自分の使用した不要になったものを売る場合、または新しく買ったものを売る場合は、古物商許可は必要ありません。
許可が受けられないケースとは?
一つでも欠格事由に該当していると許可を受けられません。該当していないことを確認しましょう。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、又は、背任、遺失物・占有離脱物横領、盗品等有償譲受け等の罪で罰金刑もしくはしくは、古物営業法違反のうち、無許可、許可の不正取得、名義貸し、営業停止命令違反で罰金刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなった日から起算して五年を経過しない者
- 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第十二条若しくは第十二条の六の規定による命令又は同法第十二条の四第二項の規定による指示を受けた者であって、当該命令又は指示を受けた日から起算して三年を経過しないもの
- 住居の定まらない者
- 古物営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して五年を経過しない者
(許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日前六十日以内に当該法人の役員であった者で当該取消しの日から起算して五年を経過しないものを含む。) - 許可の取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日から、取消しをする日又は取消しをしないことを決定する日までの間に、許可証の返納をした者(その古物営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)で、当該返納の日から起算して五年を経過しない者
- 心身の故障により古物商又は古物市場主の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定める者
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が古物商又は古物市場主の相続人であって、その法定代理人が前各号及び第十一号のいずれにも該当しない場合を除くものとする
- 営業所又は古物市場ごとに、業務を適正に十するための責任者として管理者を選任すると認められないことについて相当な理由がある者
- 法人で、その役員のうちに第一号から第八号までのいずれかに該当する者があるもの
古物の品目は13種類。取り扱う品目を決めましょう
古物は,古物営業法施行規則により次の13種類に分類されます。メイン以外の古物の品目は、いくつ選んでも構いません。手数料は品目を多く選んでも変わりません。
「手数料が変わらないのであれば、すべての品目を申請したほうがお得なのでは?」と思われるかもしれませんが、手数料という点では後日、項目追加で申請すると別途手数料が発生するため、最初に全品目選んだ方がお得ではあります。一方で、扱う品目に対して知識や経験があるかどうか警察に審査されます。
特に、盗品が流通することの多い「自動車」「バイク」「美術品」については、申請者の能力が厳しく審査されるので、許可へのハードルが上がります。また古物営業法の目的は、「盗品の流通防止」と「盗品の早期発見」にあります。そのため、古物商に対して警察が盗品捜査の協力を要請することがあります。すべての品目に対して捜査に協力を求められる可能性があります。
ですから、最初の申請時には取り扱う予定のある品目だけを申請するほうが良いと思います。
13品目と主な例は以下の通りです。
例 | |
美術品 | 絵画・書・彫刻・工芸品・登録日本刀・アンティーク |
衣類 | 着物・洋服・その他の衣料品・敷物類・テーブル掛け・布団、帽子 |
時計・宝飾品 | 腕時計・置き時計・眼鏡・宝石・指輪・ネックレス等のアクセサリー |
自動車 | 各種4輪自動車・タイヤ/バンパー/カーナビ/サイドミラー等 部分品も含む |
自動二輪車及び原動機付自転車 | 各種オートバイ・原動機付自転・これらの部品類 |
自転車類 | 各種自転車・これらの部品類 |
写真機類 | カメラ・レンズ・ビデオカメラ・望遠鏡・双眼鏡・光学機器 |
事務機類 | パソコン・ワープロ・コピー機・ファックス・シュレッダー |
機械工具類 | 電気機械・土木機械・工作機械・小型船舶・携帯電話・ガス器具・ゲーム機・ミシンなど |
道具類 | コンピューターソフト・ゲームソフト・CD・レコード・家具・楽器・ スポーツ用具・トレーディングカード・日常品 |
皮革・ゴム製品類 | カバン・ベルト・靴・財布 |
書籍 | 各種書籍・写真集・地図 |
金券類 | 航空券・乗車券・商品券・各種入場券・切手・収入印紙 |
申請に必要な書類
個人で古物商許可をとるのか、法人でとるのかによって必要書類は変わります。
個人・法人共通
申請者・管理者
- 古物商許可申請書
- 住民票(本籍地記載・マイナンバーの記載のないもの)
- 身分証明書
- 略歴書
- 誓約書
*法人の場合、申請書以外、役員全員分必要です。
*古物営業法の改正により2019年12月14日以降の申請から、「登記されていないことの証明書」は不要となりました。
法人の場合
- 定款の写し (奥書きしたもの)
法人の目的欄に「古物営業を営む」旨の内容が読み取れる記載が必要です。
- 履歴事項全部証明書の写し
も必要になります。
その他
ホームページを利用する場合 → URLの使用権限を疎明する資料
自動車などを取り扱う場合 → 駐車スペースを確認できる資料(駐車場所の図面や写真など)
が必要になります。
申請書の提出先
営業所を管轄する警察署の生活安全課になります。
事前に予約の電話をするほうが確実です。審査期間は土日を除く40日とされています。
申請手数料
申請手数料は19,000円 です。収入証紙を購入する必要があります。警察署でも購入できます。東京都など現金で支払える場合もあり、都道府県によって違うので事前確認が必要です。
最後に
警察での審査が終了し許可証の交付準備が整うと、警察署から電話連絡があります。管轄警察署の生活安全課にて「古物商許可証」の交付を受けることができます。
外国人の方が古物商許可を取りたいときは、これ以外にも要件や注意点があります。外国人と古物商許可についてはこちらをご参照ください。
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