在留資格(ビザ)「特定技能」と 1号2号の違いを解説します
2020,01,19
2018年12月の臨時国会で深刻な人手不足の解消策として、創設された在留資格「特定技能」。
政府は5年間の最大受入れ見込数を345,150人として、2019年4月に特定技能制度がスタートしました。
「特定技能の在留資格を持った外国人を雇用したい!」とお考えの企業様も多いかと思います。
そこで特定技能について、また1号、2号の違いについて、申請取次行政書士の伊藤亜美が解説致します。
在留資格「特定技能」ってなに?
特定技能制度は、日本の深刻な人手不足の状況を解決するために、一定の専門性・技能を有する即戦力となる外国人を、特に人手不足が深刻な特定産業で受け入れる制度です。
特定技能外国人はどんな業種で受け入れられるの?
令和2年1月19日現在、特定技能で従事できる対象業種は以下の14業種です。
今後、人材不足の著しい業種で追加される可能性があると言われています。
特定技能1号
- 介護業
- ビルクリーニング業
- 素形材産業
- 産業機械製造業
- 電気・電子情報関連産業
- 建設業
- 船・舶用工業
- 自動車整備業
- 航空業
- 宿泊業
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
特定技能2号
- 建設業
- 造船・舶用工業
特定技能1号と2号の違いはなに?
特定技能制度には1号と2号があります。
特定技能1号のポイント
1号は特定産業分野に属する「相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務」に従事する外国人の在留資格です。
- 在留期間は1年、6月又は4月。
- 「特定技能1号」で在留できる期間は通算で5年以内です。
- 技能のレベルは技能試験などで確認。技能実習2号を良好に終了した場合、試験は免除されます。
- 許可がされる場合には、在留カードとともに、日本の公私の機関(会社名・住所)と特定産業分野の内容が記載された指定書が交付されます。特定技能外国人が、転職により指定書に記載された特定技能所属機関を変更する場合又は特定産業分野を変更する場合は、在留資格変更許可が必要になります。
- 家族の帯同は基本的に認められません。
- 受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象です。
特定技能2号のポイント
2号は特定産業分野に属する「熟練した技能を要する業務」に従事する外国人の在留資格です。
- 在留期間は3年、1年又は6月。
- 技能水準を有しているかの判断は技能試験の合格によります。特定技能1号を経れば自動的に2号に移行できるわけではありません。逆に技能試験で定める技能水準を有していると認められる者であれば、特定技能1号を経なくても2号の在留資格を得ることができます。
- 技能実習2号を良好に修了しており、従事しようとする業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる場合には、技能水準について試験その他の評価方法による証明は要しないこととされています。
技能実習2号を「良好に修了した者」であること等を証明する場合とは?
・技能検定等に合格している場合は技能検定3級又はこれに相当する技能実習評価試験(専門級)の実技試験の合格証明書の写しを提出して証明します。
・技能検定等に合格していない場合は技能実習生に関する評価調書を提出して証明します。
- 要件を満たしていれば家族(配偶者・子供)の帯同は可能。
- 受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象外。
特定技能の試験てどんなもの?
特定技能の在留資格を持った外国人は即戦力として企業に採用されます。ゆえに、特定技能1号は特定産業分野に属する「相当程度の知識又は経験を必要とする技能」を、2号は「熟練した技能を要する技能」を持っていることが必要です。
その能力を証明するのが技能試験です。
試験は業種ごとに、分野所管行政機関(特定産業分野を所管する関係行政機関)が行います。
例:介護→厚生労働省、農業→農林水産省
原則、学科試験と実技試験が実施されます。
2020年1月現在では、まだ試験が実施されていない業種もあります。
日本語はできなくても大丈夫?
「ある程度の日常会話ができ、生活に支障がない能力水準」を有していることが試験その他の評価方法により証明されていることが必要です。この日本語能力の水準を証明する試験が、日本語試験です。
具体的には①「日本語能力試験(N4以上)」 または ②「日本語能力判定テスト(国際交流基金日本語基礎テスト)に合格」で証明できます。
参照 日本語能力試験(JLPT) https://www.jlpt.jp/
国際交流基金日本語基礎テスト https://www.jpf.go.jp/jft-basic/
*技能実習2号を良好に修了している場合は,日本語能力水準について試験その他の評価方法による証明は必要とされません。
特定技能制度の初年度の実績
政府肝いりでスタートした在留資格「特定技能」ですが、2019年11月末時点で在留外国人は1019人(飲食料品製造業で303人、農業が169人、産業機械製造業151人)とにとどまり、初年度に想定していた最大4万人には遠い状態です。
入管庁は特定技能の試験を受ける機会と周知を課題に挙げています。改定した対策では、いまは原則中長期滞在者に限っている受験資格を、初めて来日した3カ月以内の短期滞在者でも受験可能にします。2020年1月から適用し、観光やビジネスで訪れた外国人も受験可能になります。さらに技能試験、日本語試験の最新情報を多言語で周知することとしています。
今後、受け入れが広がることが期待されます。
特定技能の在留資格をもった外国人の雇用のご相談はからビザ申請まで、Amie国際行政書士事務所へお任せください。
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